日中友好の迷路 2014 2 16

書名 日本はこう激変する
著者 長谷川 慶太郎  徳間書店

 日本と中国は、経済的な結びつきが強く、
政治的には対立しても、
経済的には友好関係を保ちたいと考えているでしょう。
 中国としては、日本からの投資が必要であり、
さらに、公害を克服した日本の技術も欲しいでしょう。
 日本企業も、巨大な中国市場に魅力を感じるでしょう。
だから、時が経てば、自然と日中関係は修復されるはずだった。
 しかし、事態は暗転する。
2013年11月18日から1週間の日程で、
日本の経済界は、
日中経済協会訪中代表団を中国に送った。
 これで、氷のように冷え切ってしまった日中関係は、
好転するのではないかと思われた。
 しかし、事態は暗転する。
以下は、この本から引用です。
 訪中代表団が帰国する直前の11月23日、
中国国防省は突如として、中国周辺に、
防空識別圏を設定すると発表した。
 それは、日本の防空識別圏とも重なっており、
尖閣諸島の上空も含んでいたため、
日本人の大半が中国に対して、
一段と警戒心を高めたのは周知の通りである。
 訪中代表団の経営者たちも、
驚き、呆れ、憤った。
(そして、メンツをつぶされたと思います)
 それにしても、なぜ中国は突然、防空識別圏を設定したのか。
しかも、総勢178人もの訪中団がやってきて、
中国の副首相との間で日中友好関係の再構築を図ろうとしている時に。
 しかし、だからこそ、人民解放軍が防空識別圏を設定することによって、
日中友好というムードに冷や水を浴びせたのである。
 このまま日中の友好関係が確立するという方向が打ち出されたとしたら、
役割と面目を失うのが、人民解放軍にほかならない。
 人民解放軍は、もともと習近平政権に対しては、
対日接近の度がすぎると見ており、
訪中団がやってきたタイミングを見計らって、
日中友好関係にブレーキをかけるべく動いたのだ。
(引用、以上)
 中国では、党中央や地方政府の意向と違って、
人民解放軍は、「経済は、俺たちには関係ない」と考えているでしょう。
特に、現場の兵士たちは、そういう傾向が強い。
 だから、いつか、党中央の最高幹部が、
テレビのニュースを見て、
「わが軍は、いったい何をやっているのか」と仰天する事態も発生するでしょう。
 中国では、党中央の意向を無視して、
勝手に動いている地方政府もあるので、
あるいは面従腹背になっている地方政府もあるので、
人民解放軍では、何が起こるか、わからないものがあるでしょう。
特に、現場の兵士たちが想定外の事態を引き起こすこともあるかもしれません。
 党中央の最高幹部が、テレビのニュースで初めて、
現場で起きている事態を知ったということも増えてくるでしょう。

シャドーバンキング 2014 1 5

書名 日本は史上最長の景気拡大に突入する
著者 長谷川 慶太郎  PHP

 この本で気になることは、
いわゆる「アベノミクス」のことではなく、
第五章の中国のシャドーバンキングのことです。
 この章で、著者は、
習近平政権と人民解放軍の対立について書いています。
 シャドーバンキングとは、「影の銀行」のことで、
銀行でない金融機関のことです。
日本では、ノンバンクという金融機関でしょうか。
 昨年、中国では、あるいは世界的にも、
シャドーバンキングが大きな問題となりました。
 問題は、中国では、シャドーバンキングが、
純粋な金融問題として扱えないことにあると著者は指摘します。
 著者は、シャドーバンキングの実質的な経営者は、
人民解放軍の幹部であると指摘すると同時に、
習近平政権が率いる北京政府と人民解放軍の
激しい路線対立があると書いてあります。
 人民解放軍を締め付けるために、
シャドーバンキングをつぶそうとすれば、
それを最後の頼みの綱としている中小企業は、倒産します。
そうなれば、膨大な失業者が出て、中国は大混乱になります。
 しかし、シャドーバンキングを救ってしまうと、
人民解放軍の資金源を断つことができなくなります。
 要するに、シャドーバンキングは、金融問題ではなく、
軍事問題、あるいは文民統制の問題であると著者は言いたいのでしょう。
















































































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